国際危機はなぜ発生し、戦争に至るのか。また、国際危機を管理するためにはどうすれば良いのか。キューバ危機の戦争回避という成功体験は、軍事的能力と、戦争も辞さないという決意の強さの伝達の有効性との過大評価につながった。国際危機において、交渉スキルや相互のコミットメントcommitmentが存在したとしても、先制攻撃preemptionの誘惑、コントロールの喪失、そして誤認によって危機のエスカレーションは起こりうる。危機管理を学ぶ者は、指導者のパフォーマンスとその背後にある政治的・心理的な不安定化要因との関連性を正確に理解しなければならない(Lebow 1987, Ch. 1)。
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2020年02月03日
2020年01月10日
【書評】 ダーヴィッド・ヴァン・レイブルック『選挙制を疑う』岡ア晴輝/ディミトリ・ヴァンオーヴェルベーク訳(法政大学出版局、2019年)。
「民主制、貴族制、寡頭制、専制、全体主義、絶対主義、無政府主義──いかなる政治体制も二つの根本的な基準、すなわち効率性と正統性のバランスをとらなければならない。効率性は、政府が直面する問題の解決策をいかに迅速に見いだせるかに関わり、正統性は、住民がその解決策にどれくらい納得できるか、政府の権威をどれくらい認めるかに関わる。効率性は活力に、正統性は支持に関わる」(ヴァン・レイブルック 2019, 7-8)。
「民主主義は、あらゆる統治形態のなかで、最も悪が少ない。二つの基準を双方とも満たそうとしているからである。いかなる民主主義も、正統性と効率性の健全なバランスをとろうとする」(ヴァン・レイブルック 2019, 8)。「だが今日、西洋民主主義諸国は正統性の危機とも効率性の危機とも格闘している」(ヴァン・レイブルック 2019, 8)。
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posted by 主催者 at 19:44| Comment(0)
| 小野塚崇